2009年6月アーカイブ

見てきた。エヴァの破。以下感想。ネタバレに近いので、まだ映画見てない人は読まないほうが良いかも。

TVシリーズではほんとにうざったいくらいにぐじぐじぐじぐじと人間関係と自意識を描いてきたエヴァですが、新劇場版では、そういううじうじした部分が好きだった「うじうじしたファン」たちを、庵野監督は切り捨ててると言っていいと思う。むかつくことに、基本的に登場人物はみんな通じ合ってるし信頼しあってる。そしてみんながお互いに通じ合ってて信頼しあってるということをみんなが信じている。根拠もなく。「ヤマアラシのジレンマ?なにそれ?」って感じ。「ATフィールド(心の壁)をめぐる物語」としてのエヴァを期待してるぼくの期待は、よくも悪くも裏切られた。まあそういう意味では正しく「破」だと思う。

まぁ庵野監督的には、謎解きに夢中になってるファンをTVシリーズ中に突き放したみたいに、今回はTV版に夢中になってるファンを突き放したのかも知れないけど、ぼくとしてはやっぱり腑に落ちない。これじゃ「ただのロボットアニメ」じゃないか。別にただのロボットアニメが悪いとは思わないよぼくは。けど、よりによってエヴァでそれをやる必要はないじゃないか。

ただまぁ、アスカのサービスカットは「普通のアニメ」的な意味で最高だったし、マリもぼく的には非常に好きなキャラだし、アクションシーンはもう一回見たいし、使途は最高にかっこいいし、街並みとか電車のギミックとかも最高にかっこよかったし、なんだかんだで面白かった。だからもう一度見に行くと思うしDVDもたぶん手に入れるだろう。

ひとことで感想を言えば、「アニメとしては面白いんだけど、エヴァでやるくらいなら新作でやってほしかった」という感想に尽きる。自分がこんなにTV版のエヴァに思い入れがあったことが驚きでもあるんだけど。今は、エヴァに入れ込んでる(入れ込んでた)自分を思いっきり否定された気分で、かなりつらい。「くだらない自意識なんて捨てろ」「人を素直に愛せ」みたいなメッセージ、もう嫌気がさすくらいいろんな媒体で受け取ってるよちくしょう。バカみたいだと思われるかもしれないし、キモいと思われるかもしれないけれど、たかがアニメ映画をみてものっそい落ち込んでいる。

今回の破のテーマ自体は、TVシリーズと同じくひととひととのつながりなのだろうとおもう。それがレイの「ぽかぽか」発言とかアスカの気遣いとか、に現れている。いやになるほど繰り替えされる「相手への思いやり」という陳腐なテーマ。「自分から相手を喜ばせようと思わなければ何も救われない」なんてことは、その通りだと思うし何も間違っちゃいないけど、それでも。

旧版では救われなかったシンジたちが救われるためには、たしかに「相手への思いやり」とか「自分から何かを伝えること」という当たり前のことを地味にこなしていくしかない。けど、この描き方はひどすぎる。破では、旧作であった「痛み」や「相手の拒絶」が見事に排除されてて(みんな基本的に互いを信頼しあってる)、相手へのいたわりみたいなものが強く押し出されている。でもそれって結局、「内向きなダメな自分」を否定して、捨ててるだけなんじゃないの? それじゃあ「内向きだったシンジ」は救われてないじゃん。彼が(ぼくが、と言ってしまいたい)救われる要件は、「内向きを捨てる」ことじゃない。「内向きに痛みを感じながらも、それでも外に向かうこと」だ。他者の拒絶とか、ひとと向き合う痛みとか、そういうものがきちんと描写されてない破は、そういう意味ではただの「説教」にしか見えなかった。これだったら痛みを感じながらも最後に他者を求めた旧版のほうがよほど救いがあるよ。たとえアスカに「きもち悪い」と言われようと。

ところで、今の彼女と付き合うようになってからぼくは大分満たされて、(昔に比べれば)人に対しても大分優しくなれたと思うし(昔の友人からはよく「丸くなったね」と言われるし)、不安も大分減った。それでもいまだにぼくはみんなから見捨てられる不安は強いし、自意識に押しつぶされそうになったりする。けれどぼくはそういう自分のダメな部分を見捨てられないし、見捨ててしまったら自分が自分でなくなってしまうとも思う。だから、やっぱり「ダメな部分を見捨てる」物語になってしまっているエヴァの破は、ぼくにとってはかなりきつくてつらいものだった。そうじゃねーだろ庵野。それじゃあ旧版のシンジだって救われないだろ。それは旧版の「単なる否定」だろ。

ああ、気がくさくさする。「お前のその歪んだ自己愛を完全に捨てない限りお前は幸せになれない」と宣言された気分だ。

おなかが痛い。昨日の夜ひどい痛みで死にそうになって、今日の朝もっとひどくなってた。腸炎ってんで、とりあえず薬飲んで昼間から夕方にかけて安静にしていたらだいぶ良くなったので、夜は学生時代の先輩と約束していたセッションに参加できた。よかった。でも今またちょっと痛い。

で、話の枕とはなんの関係もないのですが、セッションの話です。ぼくが今やってる数値海岸というバンドとは別のメンバーでスタジオに入ってまいりました。大学のころやっていたサークルの、現役生の子(!)と、ぼく、さらにその上の先輩という面子による年の差セッション。年齢の最大値と最小値の差はなんと10近く...!

一緒にスタジオに入った先輩はぼくが大学に入りたてのころにいろいろと音楽的に面倒を見てくれた先輩で、ぼくの音楽の嗜好や演奏はかなりこの先輩に大きな影響を受けている(一応、だいぶ「脱・劣化コピー」してきてはいるつもりではあるのだけれど...)。だから当然といえば当然なのだけれど、やっぱりセッションしてても「しっくり」来るなーと。趣味、嗜好が近く、演奏のボキャブラリーも近いので、「いやそこはそうじゃなくて」ってことがない。本気でバンドをやるとなると、この「しっくり」「自然」なのから一歩抜きん出て、ある種のぶつかり合いみたいなものがあったほうがいいのかもしれないけれど、セッションとしてはかなり良い感じでした。

今回のセッションの刺激はきちんと数値海岸の練習にも生かします。いやー音楽ってほんと楽しいなー。と、久々のライフログ的記事でありました。

ええと、このとき多分ぼくちょうど大学1年生かな?多分そう。解散間近で初出演だったから見てたんだけど、まさかこんなことになるとは思わなかった。大学でもしばらくの間話題にあがってたけど、今見てもかっこええ。

おまけ。

結構話題になってるから知ってる人は知ってると思うけど、凌辱シーンのあるエロゲーを法的に規制しろだとかそういう話題が出ている。

ぼくの立場としては、まぁ以下の通り。

  • 凌辱ゲームは女性差別の構造を表象化したものだと思う。その意味で、批判は免れない。
  • ただしそれは、たとえば石原慎太郎の「太陽の季節」がジェンダー的に批判を免れない、というのと同じくらいの意味で。
  • というわけで、法規制には反対。

と、まあぼくの基本的な姿勢はそんなところ。いくら糞なゲームにも、いくら糞な言論も、存在することは許されなければいけない、という姿勢ではある。

で、今回取り上げる話題は規制の是非とは関係ない部分。だからエントリのタイトルは「横道」なわけですね。

さて、こういうゲームとかがやり玉に挙がると、必ずと言っていいほど見かける意見として、「ガス抜き」説がある。いわく、ゲームを規制したら今までゲームで満足してたやつが満足できなくなって、実際の性犯罪が増えるぞ!ってタイプの言説だ。それに似た話で、「ポルノグラフィティが許されている日本は強姦の発生率が低い」という話がある。今回はこの「強姦の発生率」についての話題。

ところで、強姦の発生件数って、どうやって調べるんだと思います?まさか、調査員が全国の男女のところに一軒一軒回って、「強姦されましたか?」と聴くなんて方法のはずもないですよね。多くの場合、「発生件数」ってのは「(被害届けなどにより)認知された件数」なわけです。日本の強姦発生件数は世界でも低いほうだ!なんて話をよく見かけますが、これ、正しくは「日本の強姦『認知』件数が世界で低いほう」ということなんですね。で、こういう「発生はしているけど認知されてない」件数のことを、暗数と言います。

たとえばこれが交通事故などの場合、起こる場所は密室(密室トリックとかそういう意味の密室ではなくて、人の目の話ね)でもないし、被害者が声を上げること自体がそんなに難しくないため、暗数というのはそんなに変動しません。一方で、痴漢を含む性犯罪の場合、密室で起こることが多く、また、それ以上にセカンドレイプ(痴漢被害者に対して「お前が誘うような格好していたんだろ!」などと言って責め立てることなどは典型的なセカンドレイプです)をおそれた被害者が声を上げられないなどの条件がそろうことが多く、暗数はそれこそ「ふたを開けなきゃわからない」状態になっています。

もちろん、ぼくはここで、「日本は強姦天国だ!」などと結論づけるわけではないですが、少なくともレイプをする大学生を「元気がある」なんて表現する馬鹿議員がいたり、性犯罪被害者に対して「ゴネ得」とか「お前にも落ち度が」とか言ったりする人間がいる状況では、日本の性犯罪件数の暗数も大きなブレ幅がありそうだとは言えそうです。

つまり何が言いたいかというと、(性犯罪に限りませんが)こと性犯罪などの暗数が読めないものに対しては、「報告された件数」≒「実際の件数」と思ってしまうのは間違いだ、ということです。だから、「日本は強姦件数が世界でも低いほう!日本の男性は安全!」という主張は、ちょっと無理がありますね。もちろん何度も言うようですが、べつにぼくは「日本の男性怖い!ちょう危険!日本は最低!」と言ってるわけではなくて、「強姦の報告件数という数字からは、日本の性犯罪が多いとも少ないともいえない」「わからない」と言っているわけです。

おしまい。

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都内在住プログラマ。男子。

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